流産やダウン症などの先天性疾患の原因---加齢による卵子の染色体数異常---を解明 [卵子の老化]
卵子が受精に至っても流産やダウン症などの先天性疾患を引き起こすのは、
加齢によって卵子の染色体数異常が起きやすくなるため。
理化学研究所がその原因をマウスの卵母細胞を使って解明した。
加齢によって卵子の染色体数異常が起きやすくなる主要な原因
この原因を理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市)などの研究グループがマウスの卵母細胞を使って解明した。
卵子の形成は精子が精母細胞の分裂からなるように卵子も卵母細胞が分裂を経てできるが、染色体数異常は分裂の際早く分離してしまう染色体があるのが原因と判明。この早期分離があると分裂の際に、ペア構造になっている染色体が一定に分配されない。ペア構造が解消されると卵子が受精に至っても流産やダウン症などの先天性疾患を引き起こす。
早期分離の染色体発生は、加齢等に伴う卵母細胞の老化により高い確率で起こる。
グループは研究で、老化したマウスの卵母細胞275個を使い、細胞内の染色体の動きを観察。一定に染色体が分配されなかった20個(7.3%)のうち8割で、通常よりも早く染色体のペア構造が解消されていた。年齢が高い人の卵母細胞についても、同様の傾向が見られた。
若い卵母細胞では染色体異常は0
一方、若いマウスの卵母細胞167個では染色体の分配に異常は見られなかった。
不妊治療への応用
研究グループの北島智也氏は「早期分離を押さえることができれば、加齢に伴う染色体数異常を解消できる可能性がある」とし、不妊治療への応用を目指す。