赤銅色の月、1時間17分…3年ぶりに皆既月食 [皆既月食]
満月が地球の影に完全に入る皆既月食が31日夜、天候に恵まれた地域で観察された。
午後9時51分に皆既月食が始まり、東京スカイツリー(東京都墨田区)の周辺では、南東の空に浮かぶ月が、赤銅(しゃくどう)色と呼ばれる暗い赤色に変化する様子が見られた。日本で皆既月食が観測できたのは2015年4月以来で、3年ぶりの天体ショーとなった。
国立天文台によると、月が赤く見えるのは、太陽の光が地球の大気の層を通る際に青い光が散乱し、赤い光だけが残って月面を照らすためという。
日本で見ることができる次の皆既月食は今年7月28日で、おおよそ東北より西の地方で見ることができる。
月食の起こるしくみ
月食は、太陽-地球-月が一直線に並ぶとき、つまり、満月の頃だけに起こります。ただし、星空の中での太陽の通り道(黄道)に対して月の通り道(白道)が傾いているため、ふだんの満月は、地球の影の北側や南側にそれたところを通ります。そのため、満月のたびに月食が起こるわけではありません。
皆既中の月の色
皆既食中には、月が本影の中に完全に入り込みます。しかし、皆既食中の月は真っ暗になって見えなくなるわけではなく、「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれる赤黒い色に見えます。
これはなぜでしょう。
波長の長い赤い光は散乱されにくく、いくらかが大気を通過し、さらに大気で屈折して、月に届くため
地球のまわりには大気があります。太陽光が大気の中を通過する際、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱され、大気をほとんど通過することができません。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、光は弱められながらも大気を通過することができます。これは、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。また、大気がレンズのような役割を果たし、太陽光が屈折されて本影の内側に入り込みます。このかすかな赤い光が皆既食中の月面を照らし、月が赤黒く見えるのです。
皆既食中の月の色はいつも同じではありません。大気中にチリが少ないと大気を通り抜ける光の量が多くなり明るいオレンジ色に、逆にチリが多いと大気を通り抜ける光の量が少なくなり、黒っぽく見えます。