アベノミクス「新3本の矢」を読み解く [三本の矢]
安倍晋三首相は24日の記者会見で「アベノミクスは第2ステージに移る」
と宣言し、経済成長の推進力として新たな「3本の矢」を発表した。
これまでの3本の矢のうちの「成長戦略」が、なお道半ばと評されるなか、
放たれる新しい矢とはどんなものだろうか。
■そもそも「旧」3本の矢とは
『旧「3本の矢」は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3つ。
・このうち日銀の協力を得た金融緩和は円安・株高でアベノミクスの基盤を築いた。
・財政政策は一時的な刺激策で評判はいまひとつ。
・3本目の矢の成長戦略は「道半ば」。
日経電子版の経営者宮内義彦氏のブログ評
『成長戦略に欠かせない規制緩和は進まず、財政の健全化に必要な社会保障費などの削減も、ほとんど手が付けられていません。利害調整が難しい施策は後回しとなり、金融緩和だけが先行しています。』
『今の経済を支えているのは日銀による異次元の金融政策とそれに触発された一部民間部門の元気、回復が加わった結果です。要は日銀の一本足打法が当たったのです。』
■「新」3本の矢とは・・・ 希望と夢と安心
(1)希望を生み出す強い経済
(2)夢を紡ぐ子育て支援
(3)安心につながる社会保障
■強い経済=20年のGDP600兆円に
『14年度に490兆円だった名目GDPを2割増やすため、女性や高齢者、障がい者らの雇用拡大や地方創生を本格化して「生産性革命を大胆に進める」とした。』
■子育て支援=合計特殊出生率を1.8に回復
『子育て支援では、現在1.4程度の出生率を1.8まで回復させる目標を掲げた。子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化、結婚支援や不妊治療支援に取り組む。』
■社会保障=介護離職ゼロに、「日本1億総活躍プラン」
『家族らの介護を理由に退職せざるを得ない「介護離職」をゼロにしたいとの目標を示した。』
『働く意欲がある高齢者への就業機会を増やす考えを明らかにした。これらを20年に向けた「日本1億総活躍プラン」としてまとめ、「50年後も人口1億人を維持する国家としての意思を明確にしたい」と語った。』
■具体策、どう打ち出す?
今後の焦点は、新3本の矢を実現する具体策に移る。
『問題はそうした子育てや社会保障の充実策と、国の借金が1000兆円を超す財政再建策をどう両立させていくかだ。』
2016年夏の参院選を控え、安倍政権がどこまで説得力のある道筋を示せるかに注目だ。