本庶佑さんノーベル賞受賞 PD-1発見が新しいがん治療薬オプジーボ(免疫薬「ニボルマブ」)の開発へ [ノーベル賞]
ノーベル賞の授賞式で、スウェーデンのカール16世グスタフ国王からメダルと賞状を授与される本庶佑・京都大学特別教授
本庶佑さんノーベル賞受賞 PD-1発見とがん治療薬
本庶さんは、ノーベル文学賞を受賞した川端康成さん以来、50年ぶりに紋付き羽織はかまの和服姿で授賞式に出席した。
ストックホルムで2018年12月10日夜(日本時間11日未明)、ノーベル医学生理学賞の授賞式で、京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)は、スウェーデンのカール16世グスタフ国王からメダルと賞状を授与された。
スウェーデン国王から記念のメダルを手渡され、落ち着いた表情で受け取り、握手を交わす本庶さん。
ノーベル賞の授賞式を終え、医学生理学賞のメダルと賞状を手に記念撮影する本庶佑・京都大特別教授(右)。左は妻の滋子さん
ノーベル賞授賞式を終え、笑顔を見せる本庶佑・京都大特別教授(10日、ストックホルム)
1300人の豪華祝宴
その後の晩さん会で、本庶さんは、国王の姉のクリスティーナ王女の隣に座って歓談し、食事を楽しんだ。
約1340人の参加者を前に、医学・生理学賞の受賞者を代表して、英語で「地球上全ての人々が健康的に暮らすため、この革命的な贈り物から恩恵を受けられるよう、この治療法が広がっていくことを心から願う」とスピーチした。
授賞式と、その後の記念晩さん会を終えた本庶さんは、少し疲れた様子も見せながら、「(授賞式いかがでしたか?)大変素晴らしかった。大変重みがあった」などと感想を述べた。
一夜明けた11日午後、授賞式について「盛大で感激した」と喜びを語った本庶佑さん
本庶さんは、13日までストックホルムに滞在し、議会を訪問するほか、王宮での晩さん会に出席する。
本庶佑さんの研究
本庶さんは92年、T細胞表面に免疫を抑制するブレーキ役のたんぱく質「PD-1」という分子を発見。
この研究をもとに新しいがん治療薬「オプジーボ」を使った画期的ながん免疫療法が開発された。
PD-1とは
本庶佑さんが発見したPD-1は、免疫細胞の表面にあり免疫を抑えるタンパク質分子で、「攻撃ストップ」を命じるブレーキのような働きを持っているタンパク質のこと。異物(がん)を攻撃することをストップする分子。
免疫を抑える分子は人体に必要で、自分の細胞を不必要に攻撃しないような役目をしている。
がん細胞が増え続ける理由
がん細胞は免疫細胞のPD-1にはたらきかけ(PD-L1を出しPD-1と結合し)がん細胞へのを攻撃をストップする命令をださせる。結果、がん細胞は攻撃されないので増え続ける。
オプジーボが免疫細胞の本来のはたらきを発揮させる
オプジーボは免疫細胞であるT細胞のPD-1に結合して、がん細胞から作り出されたPD-L1との結合を阻止ブロックすることにより、免疫機能にブレーキがかからないようにして、T細胞のがん細胞を攻撃する力を高めます。
「オプジーボ」は小野薬品工業(大阪市)から14年に発売され、免疫療法は従来の抗がん剤や放射線治療、手術に続く、「第4のがん治療法」と期待されていて、 抗がん剤「オプジーボ」(ニボルマブ)はこれからのがん治療薬として注目を集めている。
「オプジーボ」によるがん治療例
千葉県に在住の男性は、6年前健康診断で肺がんが見つかり手術。しかし、がんは脊髄や脳に転移しており、死を覚悟する状況だったそう。
他の治療法を試みるうちに「オプジーボ」に出会い、2016年12月からオブジーボの投薬を開始し、2017年の7月にはがんが確認できないまでに回復した。
男性は「オプジーボの投与から2カ月ほどすると、ずっと悩まされていた頭痛が消えた」と語っています。 「肺がん患者の会ワンステップ」の代表はオプジーボを「希望の薬」と表現しています。
オプジーボ(免疫薬「ニボルマブ」)は、従来の抗がん剤との比較実験で圧勝しています。
本庶佑(京都大学特別教授) 提供=京都大学